ここでは、介護用ユニットバスを導入するメリットとデメリットについて、介護現場・施工現場の両面から調査しています。
在来工法に比べ、ユニットバスは断熱性・気密性・保温性に優れており、浴室内の温度変化が少なくなっています。そのため、浴室に出入りする際、急激な温度変化による血圧変動(ヒートショック)を抑えることができ、利用者の健康を守る効果が期待できます。
介護用ユニットバスは、手すりはもちろん水はけの良い床材、スリップ防止加工といった、利用者の安全面を考慮した設備・素材が用いられています。在来工法で良く見られるタイルなどの硬い素材は使用されていないため、利用者の安全な入浴サポートにつながります。
介護用ユニットバスの床や壁はタイル張りのような目地がないため、汚れを容易に落としやすくなっています。水はけが良く、カビやニオイも残りづらいため、衛生的なバスルームを維持しやすいのがメリットです。
現場で1から作り上げる在来工法と異なり、介護用ユニットバスは床や壁面といったパーツを工場で作成し、それを現場でくみ上げるというシステムです。そのため、在来工法に比べると作業量が少なく、工期を短縮できるのがメリット。施設の浴室をリフォームする場合の、利用停止期間も短くできます。
介護用ユニットバスは、壁・天井・床などのつなぎ目が少なく、防水性能が高いのが特徴。そのため、特殊な防水工事は不要となっています。水漏れのリスクも低く、施設の2階以上でも比較的安心して浴室を設置することが可能です。
介護用ユニットバスには、エプロンや天井に点検口が設けられており、漏水などのトラブルが発生した際でも原因を特定しやすいのが特徴。日々の点検やメンテナンスもしやすく、適切に使用することで設備の寿命を延ばすことも可能です。
しかし、介護用ユニットバスには、厚生労働省によって故障や破損せずに安全に使用できる法定耐用年数が決められています。法定耐用年数について、まとめているページがあるので、ぜひそちらも参考にしてみてください。
介護用ユニットバスは、基本的にデザイン・仕様があらかじめ決められているものです。そのため、既存のユニットバスに対して「新しい設備を後づけしたい」といった場合、壁や天井を解体するといった大規模工事となる可能性があります。工事内容が大がかりになるとコストがかさむほか、工期も長引き利用者にも負担をかけることがあります。
介護現場をはじめ、設計・施工の面でもメリットの多い介護用ユニットバス。施設や利用者に合わせた製品を導入し、長きにわたって安全に利用するためにも、介護用ユニットバスに詳しいメーカーを選ぶようにしましょう。
当メディアでは、「軽~重度者の幅広い対応が必要な施設向け」、「自立支援を促す施設向け」、「障がい者への目配りが必要な施設向け」の3つに分けて、おすすめの介護用ユニットバスメーカーを紹介しています。各メーカーや製品の特徴を掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
RECOMMENDED
施設に合った介護用ユニットバスを導入するには、利用者の介護レベルに合ったものを選ぶ必要があります。施設や利用者の身体状況に合わせて、メーカーを3社ピックアップしていますので、特徴や強みをチェックしてみてください。
軽~重度者の幅広い
対応が必要な施設向け
画像引用元:積水ホームテクノ 公式HP
(https: //wells.sekisui-hometechno.com/)
可変できるレイアウトと、移動・洗体から入槽まで乗り換え不要なリフトにより、介護度が徐々に上がった場合でも、利用者・介助者双方の負担を軽減します。
自立支援を促す
施設向け
画像引用元:パナソニック 公式HP
(https: //sumai.panasonic.jp/bathroom/aqua_heart/)
要介護のレベルが低い方の自立支援に特化した構造のユニットバス。高さ40cm、ふち幅6cmで跨ぎやすくつかみやすい浴槽で自立を促進。
複数人の同時入浴で
目配りが必要な施設向け
画像引用元:ダイワ化成 公式HP
(https: //www.daiwakasei.co.jp/products/systembath/kaigo_yutori/)
広めの浴室に大型浴槽や複数の浴槽を設置し、多人数の同時入浴に対応。障がい者のグループホームで常に複数名を見ながら介助できるため、効率化を叶える。