自宅や介護施設での入浴介助は、準備から片付けまで非常に重労働です。「どのくらいの時間をかけるのが正解?」「長湯は体に悪いの?」とお悩みの方も多いでしょう。本記事では、高齢者の入浴時間の目安と、介助の負担を減らし時間を短縮するためのポイントを解説します。
高齢者にとっての理想的な入浴時間は、脱衣所での着替えを除き、浴室内にいる時間として10分から15分程度が目安とされています。元気な方であればつい長く湯船に浸かりたくなってしまいますが、実際には湯船に浸かる時間は5分以内にとどめるのが体への負担を最小限に抑えるコツです。加齢に伴い体温調節機能が低下しているため、長湯をすると本人が自覚している以上に心臓へ負担がかかったり、脱水症状を引き起こしたりするリスクが高まります。短時間で効率よく体を温めることが、安全な介護入浴の基本となります。
入浴そのものの時間を管理するのと同様に、入浴を始める前の準備時間にも気を配る必要があります。特に冬場は、暖かい居間から寒い脱衣所や浴室へ移動した際の急激な温度変化により、血圧が乱高下するヒートショックが起こりやすいため注意が必要です。本人が浴室に入る10分ほど前から、シャワーでお湯を流して蒸気を充満させたり、小型の暖房器具で脱衣所を暖めたりして、室温を20度以上に保つ工夫が求められます。この事前準備にしっかり時間をかけることで、入浴中の事故を未然に防ぐことにつながるのです。
介助をスムーズに進めるためには、入浴の手順を完全にルーチン化してしまうのが効果的です。例えば「左足から脱ぐ」「洗髪の次に顔を洗う」といった流れを毎回固定することで、介助者は次にすべきことに迷わなくなり、結果として全体の時間を短縮できます。また、次に何をするかを事前に優しく声掛けしながら進めることで、被介護者も心の準備ができ、動作の協力が得やすくなるというメリットも生まれます。一連の流れがリズムとして定着すれば、お互いの心理的な負担も軽くなり、お風呂の時間がより穏やかなものへと変わっていくでしょう。
動作のひとつひとつに時間がかかっている場合は、福祉用具の導入を積極的に検討してみてください。特に浴槽への出入りは最も転倒のリスクが高く、介助者も力を入れる必要があるため、時間がかかりがちなポイントです。浴槽の縁に取り付けるバスボードや、座ったまま移動できるシャワーチェアを活用すれば、無理な姿勢をとることなく安全かつスピーディーに移乗が可能になります。道具を上手に頼ることは決して手抜きではなく、被介護者の自立を促し、介助者の腰痛予防や時短を実現するための賢い選択であると言えるでしょう。
もし現在の浴室が狭く、介助に限界を感じているのであれば、介護に特化した浴室リフォームやモジュラーバスへの改修も視野に入れるべきかもしれません。介護用ユニットバスは、車椅子から移乗しやすい浴槽の高さや、介助者が横に立てる十分なスペースが計算されて設計されています。また、床材が滑りにくく乾きやすい素材になっているため、入浴後の清掃時間まで含めたトータルの家事負担を減らすことができます。住環境そのものを見直すことで、毎日の重労働だった入浴介助が驚くほど楽になり、時間的なゆとりも生まれるはずです。
入浴が終わったあとのアフターケアも、健康を維持するためには欠かせない工程です。お風呂上がりは体から水分が急激に失われていくため、脱衣所にはあらかじめ飲み物を用意しておき、速やかに水分補給を行えるようにしておきましょう。それと同時に、肌の乾燥を防ぐための保湿クリームの塗布も、体がまだ温かいうちに済ませるのが効率的です。あちこちに移動せず、脱衣所の椅子に座った状態でこれらのケアをセットで行う仕組みを作っておけば、湯冷めをする前に服を着てリビングへ戻ることが可能になります。
入浴後は体力を消耗している状態ですので、着替えが終わったあとの5分から10分程度は安静に過ごしてもらいましょう。その際、顔色が悪くないか、呼吸が乱れていないかといったバイタルチェックをさりげなく行うことが大切です。特に入浴直後は血圧が変動しやすいため、急に立ち上がってふらつくなどのトラブルが起きないよう、しばらくは側で見守りながら会話を楽しむ時間に充ててください。この短い休息の時間をしっかりと設けることで、入浴による疲労が翌日に残るのを防ぎ、安全に一日のプログラムを締めくくることができます。
介護入浴は、本人の体力を考慮してトータル15分程度に収めるのが理想的と言えます。時間を意識しすぎるあまり焦って介助を行うのは禁物ですが、ルーチン化や便利な福祉用具の活用、そしてリフォームによる浴室環境の整備によって、安全性を保ちながらスピーディーに済ませることは十分に可能です。介助者と被介護者の双方が笑顔でいられるよう、環境と手順を整えて、ゆとりある入浴時間を過ごしてください。
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